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日韓こころの交流プログラム

国際交流・人材育成

“日韓こころの交流”プログラム 2016年度の募集はありません
~シンポジウムとセミナーを通して、高齢化社会の課題にともに取り組む~

  “日韓こころの交流”シンポジウム
社会福祉法人こころの家族(大阪府)と連携して、日本および韓国の社会福祉諸団体の協力のもと、両国で交互(一年毎)に社会福祉の専門家と一般市民を対象にシンポジウムを開催しています。両国の社会福祉関係者が一堂に集まり、国際的な視野でソーシャルワーク実践の専門性や役割などについて討議します。

  専門職育成・国際交流セミナー
福祉現場で働く若手専門職と専門職をめざす大学院生を公募選考し、約10名をシンポジウム開催現地に派遣して、一週間の「専門職育成・国際交流セミナー」を実施しています。この研修セミナーでは、高齢・児童・障害などの各分野において先進的な取り組みをしている施設の視察や大学院の授業に参加し、両国の福祉制度・実践の特徴と課題点を考察。交流を深めます。

 

※2016年度の募集はありません。韓国より若手ソーシャルワーカーおよび大学院生を招聘してセミナーを行います。

■セミナー・レポート

● 「“日韓こころの交流”プログラム」を韓国・ソウルで開催しました。

本年10月28日、秋の深まりゆくソウル市の崇實(スンシル)大学校にて、第13回“日韓こころの交流”シンポジウムを開催しました。併せて第8回専門職育成・国際交流セミナーを実施し(10月22日~29日)、日本から訪韓した7名のソーシャルワーカーと大学院生が韓国で学びを深めました。
シンポジウム当日、澄み渡る秋晴れのもと、紅葉に色づく崇實大学校の会場には、福祉関係者や学生、市民の方が多数来場されました。

本年のテーマは、『地域住民が主体となるコミュニティ・ケア』です。
国や地方自治体による福祉サービスの体系では手が行き届かない部分、地域のニーズに応えきれない部分があり、新しい方向性として「地域社会」に注目が集まっています。地域住民が様々な形で参加し、自分たちで社会の仕組みを作り上げる、そのような福祉体系の多元化が必要となっていることから、本テーマが決まりました。

今回のシンポジウムでは、日本と韓国における住民主体の福祉実践について、専門家と市民のリーダーに発表いただきました。東国(トングク)大学校社会学科教授のキム・ヒョンヨン氏による基調講演「地域社会とケア」では、最近ソウル市等が進める小規模のコミュニティを通じた福祉サービスの事例について、検討しました。
会場となった崇實大学校

基調講演の様子
つづく事例発表では、韓国側からは、子どもたちの遊び場(公園)づくりのために立ち上がり、住環境を改善していった母親たちの実践等について、日本側からは、“孤独な高齢者をつくらせない”との思いから始まり、現在では幼児保育施設の経営を行うまでに成長した主婦たちの実践等について、報告がありました。
地域のコミュニティの力を活かしつつ、行政と協力して、どう福祉の充実に繋げていけるかという、日韓に共通する喫緊の課題を深める有意義なシンポジウムとなりました。

シンポジウムに併せて実施している専門職育成・国際交流セミナーは、次代を担う日本と韓国の福祉専門職の育成を目指しています。先進的な取り組みを行っている施設を視察し、現場で活躍する専門家のお話を伺うとともに、大学院の授業に参加して、学術的な理解を深めます。
今回のセミナーでは、老人専門の療養センター(特養)やアルコール依存者のためのリハビリ施設、外国人住民との共生に力を入れる福祉館(地域福祉の拠点の施設)、児童養護施設等、様々な分野の施設を視察しました。視察先では、ソーシャルワーカーが職員の研修や利用者家族とのコミュニケーション、広報活動等、多岐に渡る業務をこなしている姿を目の当たりにしました。専門職大学院の授業では、仕事の後に熱心に勉強し、活発に議論を交わす社会人学生たちの熱気に触れることができました。

韓国の専門職の、地域に発信する力強いパワーを実感して、「自分も社会変革を起こせるようなソーシャルワーカーを目指したい」と、ある参加者は抱負を語ってくれました。セミナーを通じて韓国の文化や歴史を学ぶことができたという別の参加者は、「日本と韓国、皆が少しでもより幸せに暮らせる社会になるように、ソーシャルワーカーとして頑張りたい」と話していました。
地域福祉の拠点「総合社会福祉館」にて

崇實大学の大学院授業に参加
また別の参加者は、施設や学校での人々との出会いを通して、「皆の心が合わされば交流ができるし、また新しいものが出来てくるのではないかと、この研修を通して改めて気づきました」と、研修の学びを表現していました。

プログラムの詳しい内容をニューズレターとしてまとめました。
ニューズレター「日韓こころの交流プログラム」  

●「利用者中心」の日本の福祉に感銘 ~専門職育成・国際交流セミナー~

 

2014年11月9日から16日の一週間、第7回専門職育成・国際交流セミナーを実施しました。今回は韓国から、10名の社会福祉専攻の大学院生と若手の福祉専門職員が参加。セミナー開催地である大阪と京都を訪問しました。秋の晴天に恵まれるなか、新たな知恵を得、人々との交流を深める充実した一週間になりました。

訪問先施設でご説明を伺う

セミナーでは、大阪府、京都府の高齢、障害、児童等の諸分野で積極的な取り組みを行う施設を視察し、現場の実践を学ばせていただきました。また同志社大学、龍谷大学等の教授陣による講義を通し、学術的な面からも日本の社会福祉について理解を深められるよう、構成されています。

大阪では、色々な障がいのため、独立して日常生活を送ることが困難な人々に、生活の拠点や各種のサービスを提供している施設等を視察しました。韓国からの参加者は、「困難な状況にある人々を支援する施設の方々の、素朴でまっすぐな姿勢に感銘を受けました」と話していました。

施設内を見学

また京都では、様々な事情から保護者と一緒に生活することができない児童を養護し、自立を支援する児童養護施設を訪問しました。この施設では、施設で起きた問題について、解決しようとするのではなく、児童が成長する過程として捉えることや、児童を変えようとするのではなく、児童が適応できる場所にすることなど、子ども一人ひとりと向き合い、「話し合い」で進めていくとの施設長のお話に、参加者は真剣な表情で聴き入っていました。

同志社大学の大学院生との交流会

複数の大学での講義も、本セミナーを構成する一部です。同志社大学の大学院授業では、韓国からの参加者と日本の大学院生が、自分たちの研究について発表し合いました。
さらにセミナー中に生じた疑問や気づきを共有する時間として、セミナーの中盤と終りには、総括(振り返り)の時間が設けられています。この時間に参加者は、社会福祉を専門とする先生方に疑問点を確認し、似ているようで異なる日韓の違いについて、理解を深めていました。また、かつてこのセミナーに参加して韓国を訪問した日本側参加者も加わり、現場の視点から率直な意見を述べてもらいました。

韓国からの参加者は、現場経験が豊富で、日本のソーシャルワーク実践から何かを学び取り、今後の自らの実践に役立てたいという意欲に溢れていました。今回のセミナーを通して、「利用者中心の理念のもとに実践されている職員の姿に感動しました」「日本人は個人的で利己主義なイメージがありましたが、セミナーに参加して、これまでの日本人観が払しょくされました。心に寄り添ってサービスをし、耳を傾けている姿に感動しました」など、利用者中心に取り組む日本の現場スタッフの姿勢が、参加者の心に大きく響いたようでした。





●社会から排除されてしまう人を、声をあげて仲間として受け入れて
『サイレント・プアに向き合うソーシャルワーク』をテーマにシンポジウムを開催

多くの方が来場されました

11月15日のシンポジウム当日、日本と韓国から併せて200名近い方が来場し、用意した座席はほぼ満席となりました。同志社大学の先生方や学生、ボランティアをしている市民の方、社会福祉の仕事に従事されている方等、多くの聴衆で賑わいました。

このシンポジウム、そして専門職育成・国際交流セミナーは、日本と韓国の若い専門家・研究者の交流を図り、日韓の友好と社会福祉の増進に寄与していきたいとの願いを込め、行っています。

 

日本と韓国の講演者のお話から、知的刺激と、困難な課題にも取り組んでいく前向きな明るさを分けていただき、それを多くの来場者と共有できる、有意義な時間となりました。

基調講演は、社会活動家として貧困問題等に継続して取り組まれ、内閣府参与も務められた、法政大学教授の湯浅誠氏。支えられる側の人(社会的弱者)が誰かを支えることによって、その人の力を引き出すという「全員参加型社会」という考え方を提言されました。

熱心に講演に耳を傾けます

続いての事例発表では、両国から4人の専門家による講演がありました。日本からは、NHKドラマ「サイレント・プア」のモデルになったソーシャルワーカーの勝部麗子氏による豊中市社会福祉協議会での実践と、山科醍醐こどものひろば理事長の村井琢哉氏より、子どもの貧困解決に向けての子どもを中心にしたまちづくりの活動をお話しいただきました。韓国からは、公的機関と民間が協力してケアマネジメントを行う李善淑氏の南陽州市での実践、貧困児童の家族支援を行う金正叔氏からの事例紹介がありました。

事例発表後は、関西学院大学教授の牧里毎治氏をコーディネーターに迎え、講師の方々によるパネルディスカッションを行いました。会場からも多くの質問が出され、両国の貧困問題に対しての実践課題と、めざすべき展望を考えました。

牧里氏は、「貧困とは社会的排除で、それが結果として社会的孤立になるのが大きな問題です。地域社会の中には援助する人もいるけれど、排除しようとする人もいるのが現実。だまっていれば排除されてしまう人を、声を上げて仲間として受け入れようと支援していき、排除する人を包摂する人に変えていくのがソーシャルワーカーです」と力強くソーシャルワーカーの役割を訴えられ、このシンポジウムをまとめられました。

 クリックすると大きな画像で見ることができます。

2011年度崇實大学の大学院生と交流崇實大学で開催の第9回“日韓こころの交流”シンポジウム日韓の著名な専門家によるパネルディスカッション
2010年度同志社大学の学生と交流龍谷大学のホールにて開催の第8回シンポジウム講演に聞き入るセミナー参加者

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