研究概要

代表者氏名永野 咲(ながの さき)
代表者所属機関東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科
役職・課程博士後期課程
助成年度2012年度

研究テーマ

社会的養護におけるライフチャンス保障―国内外の「当事者活動」の役割とリジリエンスに注目して―

研究概要

 本研究では、社会的養護を必要とする子どもたちのリジリエンスの促進要因およびその契機を知り、またそのための当事者活動の役割を明らかにすることを目的とし、国内での退所者へのインタビュー調査およびカナダでのヒアリング調査を実施した。
 その結果、回復する過程には社会的養護で暮らした経験をもつことを含め「自分がありのままに受け止められる経験」が大きな意味をもつことが明らかとなった。このためには、意見や声が受け止められ、自身にまつわる事項の決定の機会を保障されることが重要であるといえる。また、当事者活動を通じて、自身の社会的養護の経験がより深く受け止められると当時に、自身の経験を「声」にし、次世代に役立てるという役割も明らかとなった。これは、自身の社会的養護の経験を受容的に捉えるだけでなく、より積極的な形で「生かす」プロセスであるといえる。このことが、「自身の人生のコントロールを取り戻す」ことにつながる可能性があると考えられる。