研究概要

代表者氏名中村 由嘉子(なかむら ゆかこ)
代表者所属機関名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野
役職・課程研究員
助成年度2013年度

研究テーマ

産後うつ病の発症脆弱性とレジリエンスを規定する因子の解明

研究概要

 近年、こころの病気において、脆弱性(起こりやすさ)とレジリエンス(回復力)の概念が提唱されており、うつ病の予防策や支援策の立案のためには、脆弱性因子の同定とともに、レジリエンスを規定する因子の同定が重要と考えられる。本研究では、妊娠・出産・育児という共通したストレッサーに曝露される妊産婦コホートを出発点とし、産後うつ病の脆弱性因子とレジリエンスを規定する因子の同定を目指した解析を行った。本研究の結果から、妊婦に身体疾患および精神疾患の既往があること、初産であることが、産後の抑うつ状態のリスク因子となる可能性、すなわち発症脆弱性因子のひとつと考えられることが確認された。また、産後抑うつ状態にある者は産後にサポートをしてくれる人数が少なく、サポートに対する満足度も低いことから、産婦をサポートする人の数を増やすことが、産婦のレジリエンスを高め、産後抑うつ状態への有効な対処法となる可能性が示唆された。今後、さらに調査を継続し、不妊治療等の心理社会的要因が周産期のうつ病に及ぼす影響等について詳細に検討を行い、発症脆弱性およびレジリエンスを規定する因子を明らかにしていくことが重要であると考えられる。