研究概要

代表者氏名久村 和穂(ひさむら かずほ)
代表者所属機関金沢医科大学医学部腫瘍内科学
役職・課程講師
助成年度2014年度

研究テーマ

がん患者の就労と治療の両立を支援するための介入モデルの開発 :がん診療連携拠点病院における就労支援に関する実態把握

研究概要

 本研究の目的は、がん診療連携拠点病院におけるがん患者の就労支援の実態と課題を明らかにし、効果的な支援モデルに必要な要因を探索することにある。石川県のがん患者就労相談事業を利用した79症例を対象に、医学的・社会的背景、相談・支援内容等からその実態を把握するための後方視的観察研究と、相談担当者13名を対象としたインタビュー調査による混合研究法を用いて就労支援の実態と課題を分析した。
 量的研究から、本事業の利用件数は少なく、患者の就労継続のためには十分に活用されていないことが明らかになった。質的研究からは、患者の就労継続を困難にしていると考えられる21要素が抽出された。今後医療機関では、①院内スタッフを啓発し、就労支援のための連携強化を図る、②稼動年齢の患者に相談窓口について積極的な情報提供を行う、③患者の復職に向けて企業と医療情報を共有していくことが重要であり、多様な職種や企業との連携・協働に基づく就労支援モデルの有効性が示唆された。