研究概要

代表者氏名安 ウンギョン(アン ウンギョン)
代表者所属機関早稲田大学文学学術院
役職・課程非常勤講師
助成年度2015年度

研究テーマ

日韓における学校外の子どもの育ち・学びを支える居場所と支援に関する研究

研究概要

2016年12月14日、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が制定、公布され、不登校児童生徒などの教育機会の確保に関わって新たな転換になる法として期待されている。ようやく学校外での子どもの学びを認めるための法制化が始まり、支援体制の整備を本格化・充実化する大きな転機を迎えている。
以上の現状を踏まえながら、本研究は、学校外の子どもの育ち・学びを支える居場所づくりに焦点を当てて、子どもの最善の利益を実現させる視点から、それにふさわしい支援体制をどのように作っていくかについて検討し、課題を探ることを目的とした。そのため自治体の取り組みの中、とりわけ地域や制度的な支援のもとに展開してきた事例を選定し訪問調査やヒアリング調査、検討を行った。また、制度的な側面においてオルタナティブ教育など学校外の育ち・学び場の構築に先立っている韓国の事例、とりわけ現場への訪問調査やヒアリング調査、当事者との懇談会、支援機構の調査などを通じて現状と課題の検討も加えて研究を進めた。
今回の日韓の調査、分析を通じて学校外の子どもの育ち・学びを支えることに大事なキーワードとして挙げられるのは、以下である。
①学校外の子どもたちが集まる小規模の居場所の存在
②その居場所では一人ひとりの子どもの意志を尊重し、寄り添った支援を行うこと
③子どもの生活全体―休み、遊び、学び、働き―を総合的に考えた支援の仕組み
④子どもの育ち・学びを支え、助けあう関係を作っていこうとする地域コミュニティーの姿勢、態度
⑤地域で子どもが個別のニーズ、意志が尊重され、最善の支援を受けながら、自ら人生の主体として生きていけるようになること。
⑥さらに、以上が持続的に発展的に行われるような子どもを真ん中におく制度の整備