研究概要

代表者氏名松村 暢彦(まつむら のぶひこ)
代表者所属機関愛媛大学大学院理工学研究科
役職・課程教授
助成年度2015年度

研究テーマ

回想法を活用した地域の記憶の継承によるコミュニティの再生

研究概要

「地域の記憶」が持つ、地域の固有性、時間性、物語性に着目し、地域の記憶の共有によってコミュニティ活動を地域アイデンティティの形成の観点から効果を実証的に検証することを目的とした。松山市久米地区を対象として、高齢者を対象とした回想法やアンケートによって語られた地域の物語や当時の写真を地域の記憶として収集、蓄積し、まちあるき学習に展開できるツールを作成した。その結果、地域アイデンティティを構成する因子のうち、情緒的絆は自然環境のなかでの遊びの記憶との関連が強く、物理的環境は単なる風景だけではなく自分のお気に入りの場所など自分や友人がその空間に埋め込まれた記憶であることが要件であることが明らかになった。また、地域の小中学生との地域の思い出をテーマとしたまちあるきでは半数が「とてもよかった」と回答しており、高齢者の地域の記憶をまちづくりの地域資源として活用できうる可能性を示すことができた。