研究概要

代表者氏名笠木 映里(かさぎ えり)
代表者所属機関ボルドー大学比較労働法社会保障法研究所
役職・課程フランス国立科学研究センター研究員
助成年度2016年度

研究テーマ

高齢者介護と障害者福祉の法体系:日仏法の比較研究

研究概要

高齢者の要介護ニーズと障害者のもつ介護ニーズは、いずれも、ロングタームケアとして統一的な社会保障制度によって捉えることが理論的には可能と思われるが、日本でも、フランスでも、両者は別の社会保障制度によってカバーされている。本研究では、フランス法の研究、日仏法の比較研究を通じて、この点について、その理由や問題点、今後の方向性(両者を統合する可能性)について示唆を得ることを目指した。フランス法に関する研究では、フランスにおいて二つのリスクを統一的捉える議論が有力であることが分かったが、他方で、両制度は(その枠組みが共通する一方)様々な相違点があり、統合は現段階では現実的な選択肢とはなっていないことも明らかになった。そして、介護については障害者福祉よりもリスクと給付が定型化されその水準が限定される傾向があることや、高齢者福祉と障害者福祉では、前者の方が潜在的ニーズの財政的な規模が著しく大きいことが統合を妨げる事情となっていること、こうした状況は、日本にも一定程度共通していること等、有用な示唆を得ることができた。