研究概要

代表者氏名梅谷 進康(うめたに のぶやす)
代表者所属機関桃山学院大学社会学部
役職・課程准教授
助成年度2016年度

研究テーマ

介護予防訪問介護・通所介護の新総合事業への移行問題と対応策

研究概要

 研究目的は、介護予防訪問介護と介護予防通所介護の新総合事業への移行問題を把握し、円滑な移行にむけた対応策を提示すること、および新総合事業の開始による良い影響を把握して移行の意義をつかむことや、この意義をさらに高める方策を提示することであった。
 調査対象は、2015年度に新総合事業を開始した全国の地域包括支援センター(全数調査:1,013か所)に勤務する保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員(調査対象人数:3,039人)であった。データ収集は、郵送調査法によるアンケートにて行った(有効回答率:21.4%)。収集したデータは統計分析または質的分析を行った。
 結果は、次の4点であった。(1)生活支援や介護予防について関係者間の話し合いの機会が地域によっては増加傾向である。しかし、新総合事業に係る関係者間の意識共有(規範的統合)を進めなければならない地域が多くあり、この地域では円滑な移行のために、新総合事業の運営者である市町村が関係者間の意識共有(規範的統合)の促進を図る必要がある。この促進には、地域ケア会議や協議体を活用することが方法の1つといえる。
 (2)この事業に係るインフォーマル支援が増加した地域は少ないがある。しかし、この支援が不足している地域が多いため、その地域においては円滑な移行のために、新総合事業の運営者である市町村がインフォーマルな支援が増加するための体制整備を図る必要がある。この整備には、「既存の社会資源を生かす」「地域の特長を生かす」「他の市町村の方法・方策を活用する」といった視点が大切といえる。
 (3)地域ケア推進(代表者)会議が開催されていない市町村では、新総合事業に係る問題を生じにくくすることや改善をして円滑に移行するために、市町村のリーダーシップのもと、この会議が開催される必要がある。
 (4)生活支援コーディネーターの配置に係る予算を十分にとっていない場合や実際に配置されていない市町村では、早期に新総合事業の意義を高めるためにも、この予算確保や早期の配置が求められる。加えて、協議体が早期に設置されることも望まれる。