研究概要

代表者氏名吉井 初美(よしい はつみ)
代表者所属機関東北大学大学院医学系研究科
精神看護学分野
役職・課程教授
助成年度2019年度

研究テーマ

統合失調症におけるinsight paradoxの解明と心理的地域支援

研究概要

目的;本研究は、統合失調症を有する人を対象とし、Insight paradoxの関連要因である「Self-stigma」「Insight」「抑うつ」「症状」「社会的機能」等を調査し、程度や傾向、関連を統計学的に評価した。得られた結果から地域における心理的支援を検討した。
結果;抑うつは社会的機能と有意な正の相関(r=0.901,p<0.001)を、陽性症状および Insightと有意な正の相関を(それぞれ r=0.562,p< 0.05,r=0.923,p<0.001)を示した。また、社会的機能は病識と有意な正の相関(r=0.840,p<0.001)を示した。陽性症状と陰性症状間に正の相関(r=0.659, p<0.05)が、Insightと陽性症状との間に正の相関(r=0.563, p<0.05)が認められた。
考察; 社会的機能の低下を予防するためには、抗精神病薬の服薬継続により症状の安定を図る必要があるが、これによりInsightの低下がもたらされ、症状を正しく洞察することが難しくなり服薬中断を招くという矛盾した危険性を招く可能性がある。したがって、服薬管理支援と適切なInsightへの支援が必要だと言える。