研究概要

代表者氏名名川 勝(ながわ まさる)
代表者所属機関筑波大学人間系
役職・課程講師
助成年度2020年度

研究テーマ

知的障害のある母親の子育て中のソーシャル・ネットワークとソーシャル・サポート

研究概要

目的:本研究は,知的障害者の子育て等を巡る社会の認識・態度という社会的背景及び,知的障害のある母親自身が認識しているソーシャル・ネットワーク(以下,SN)とソーシャルサポート(以下,SS)を明らかにすることを目的とした.

方法:(1)知的障害者の支援者(以下,支援者)を対象とした知的障害者の性的表現・性行動に対する態度尺度を用いた質問紙調査,並びに(2)知的障害のある母親(以下,母親)に対するSNとSSに関する半構造化面接を行った.

結果:質問紙調査の結果から支援者の多くは,知的障害者を性的権利の主体者と認識していたが結婚には問題があると捉えていた.面接調査で対象とした母親は,SNの規模・密度が高い母親が多く,そこから豊富なSSを得ていた.

考察:支援者が結婚には問題があると捉える背景には,社会環境の側が交差・複合した社会的障壁がある人まで想定されていないことも一因といえ,SNの規模が小さい母親は,必要なSSが得られていない可能性が高い.よって,社会環境を「障害のある人が親になること」も想定されたものへ改訂していくことが不可欠と言える.