研究概要

代表者氏名畑中 美穂(はたなか みほ)
代表者所属機関名城大学人間学部
役職・課程教授
助成年度2021年度

研究テーマ

新型コロナ禍における病院前救急活動に伴うストレスの検討:パンデミックに備えた組織的対策の提案

研究概要

 2020年から続く新型コロナウイルスの流行下で、全国の消防職員は、陽性患者や感染が疑われる者への対応に従事してきた。長期化する新型コロナ禍の中で、救急現場にはどのようなストレスが残存しているのか、また、救急現場の課題に対してどのような対策が有効なのかを検討するために、本研究では、救急活動に従事する消防職員を対象として、新型コロナ禍における救急活動に起因するストレスを検討する調査(研究1)と、消防本部の救急業務を管理する職員を対象として、各消防本部が新型コロナ禍において実施してきた工夫や対策の内容について検討する調査(研究2)を実施した。
 研究1では、機縁法で全国の消防職員に調査協力を呼びかけ、新型コロナの第五波直後であった2021年10月25日~11月28日にオンライン調査を実施した。有効回答者は1965名であった。調査により、新型コロナの流行から2年近く経過した第五波直後においても、感染防護衣による活動の負担や、病院選定困難による活動の長時間化など、救急現場の様々な負担やストレスは軽減されていないことが確認された。
 研究2では、13の消防本部の協力を得て、救急現場を管理する業務に携わっている職員に対して半構造化面接調査を実施した。調査時期は、2022年6月下旬から10月であった。聞き取りの結果、各消防本部では、救急活動の長時間化などに対する実質的な負担の軽減とともに、メンタル面のサポートを図るための多くの取り組みが行われていることが確認された。