研究概要

代表者氏名小辻 寿規(こつじ ひさのり)
代表者所属機関立命館大学共通教育推進機構
役職・課程准教授
助成年度2021年度

研究テーマ

社会的孤立を解消し社会的包摂を進めるブレンディング・コミュニティ型の地域の居場所の実践とそのありかたに関する研究

研究概要

 コロナ禍の中でより進行する社会的孤立題を解消すべく、社会的孤立者を包摂し、社会と接合および相互承認させる場所として居場所(コミュニティカフェ、地域の縁側、子ども食堂等)が着目され盛んになりつつある。本研究では「地域社会において多様な存在が混ざり合い、支援/非支援や専門家/非専門家の枠を越えて相互理解と支援の関係が生まれているモデル(本研究では「ブレンディング・コミュニティ型居場所」とよぶ)となる全国の居場所運営に対する調査・分析を実施した。
 本研究では以下のことが明らかになった。

  1. 運営メンバーの中に強い共同体意識が醸成され、信頼関係と互酬性規範を共有する結合型社会関係資本が形成されている事例が多く、それが運営メンバーによっての居場所機能の創出とウェルビーングの向上につながっている。
  2. 居場所への参加者にもすでに結合型社会関係資本を持ったメンバーがグループで参加しているケース、居場所への参加を通じて結合型社会関係資本に参加するケースがある。そして既存のコミュニティ、及び居場所内に生まれるコミュニティ間の橋渡し型社会関係資本も生まれている。
  3. 自治体や社会福祉協議会、町内会など地域における違ったレイヤーとの関係づくりの場としても多くの居場所が機能し、その積み重ねが連携型社会関係資本の形成にも寄与している。

 調査した事例はその立地環境や設立経緯、活動形態は多種多様でありながら、上記に挙げたような「ブレンディング・コミュニティ」としての特徴を共通に有しており、その生成過程や運営メカニズムについても、今後さらに研究を深めていきたい。