研究概要

代表者氏名田中 真美(たなか まみ)
代表者所属機関はじづめ内科
役職・課程ソーシャルワーカー
助成年度2021年度

研究テーマ

「ハンセン病に学ぶ」ことを主題とした、臨床対人援助職者の苦悩を軽減し、内的成長を促す人間教育プログラムの新規開発・実証研究

研究概要

 本研究では、「ハンセン病」に学ぶことに焦点をあて、対人援助職者を対象にして、新たな人間教育プログラムとして整理し、実証研究を行った。
 国立ハンセン病療養所長島愛生園において行った入所者への動画撮影インタビューでは、医療、薬、医療者との関わりも語られ、現在の高齢者としての活動をされている時に動画撮影インタビューができ、意義深い成果となった。
 高齢者施設へのアンケート、並びに、対人援助職者への動画撮影インタビューにおいては、苦悩を軽減する研修等の取り組みが少ないと言う結果が得られた。その結果を踏まえて、対人援助職者の実証実験講座を行った。その結果、「ありのままの事実を知ること、相手に寄り添い、対話に努めることも気づいた」「利用者を支援するにあたり、経験する苦悩を和らげるために必要なこと、問題の本質を知ることを再認識することができた」「対人援助職者として苦悩する中で、正しい理解、真実を見つけて、そこから新たに思考出来ることを身につけていくことで人の役に立つことが出来れば、苦悩の甲斐があったと感じることが出来るのではないか」など、特に対人援助職の専門職として日々苦悩を感じながら仕事に取り組む受講者にとられては、大変有意義で新たな視座を展開する力をもらえたと言う感想もあり、内的成長を促す結果が得られた。
 ハンセン病療養所で生きてこられた方々は、筆舌に尽くし難い病の苦しみに加えて、社会的な差別、偏見によりふるさとの家族から離れての暮らしを余儀なくされて来られた壮絶な経験をされている。絶望からの険しい道のりにおいて人生の意味を見いだして生きてこられた語りに対して対人援助職者の苦悩を軽減し、内的成長する変化が見られたことが成果といえる。