研究概要

代表者氏名坪内 暁子(つぼうち あきこ)
代表者所属機関順天堂大学
役職・課程助教
助成年度2021年度

研究テーマ

避難所における高齢者・慢性疾患患者等の感染症リスク低減に向けた実証的研究

研究概要

 2021年5月に改正された災害対策基本法では、災害時要援護者の避難等の具体的支援に関する「個別避難計画」作成が自治体の義務として明文化された。現在研究介入している新宿区の私立校避難所(成城学校避難所)を例として研究を進める。
 研究代表者等は、2016年度から研究介入している、昇降客数が350万人/日で全国一位の新宿駅から2−3kmの地域にある成城学校避難所の地域防災の主体である成城学校避難所運営管理協議会等の協力を得て、成城学校避難所を指定避難所とする住民等に向けて調査を実施し、災害対策基本法の改正で条文に組み込まれた「個別避難」の仕組みに関して探究することとした。
 研究対象の成城学校避難所は、全国だけでなく都内でも数少ない私立校避難所で、感染症患者や感染疑い者の隔離相当の対応可能な教室等の小部屋も、慢性疾患患者等要援護者の個別対応が可能な教室等の小部屋も、使用は認められていない。地域住民のための指定避難所であるにも関わらず、限られたエリアしか使用できない背景には私立校独自の特性、あるいは、成城学校の事情等の問題がある。
 世界的な収束並びに終息の見込みが立たないままに、日本では今年(2023年)ゴールデンウィークを目安に、新型コロナウイルス感染症を感染症法2類から5類の分類へと移行させることが決まった。しかし、災害対策の観点から、これまでの変異の状況や致死率等から避難所でインフルエンザと同じ対応でよいかの判断は難しいため、引き続き慎重な姿勢で臨むことを求めたい。