研究概要

代表者氏名松田 光一郎(まつだ こういちろう)
代表者所属機関中部学院大学大学院人間福祉学研究科
役職・課程博士課程
助成年度2013年度

研究テーマ

自閉症者のディーセント・ワークの実現に向けた効果的な就労支援モデルの開発に関する研究

研究概要

 2014年に「障害者の権利に関する条約」が批准され、雇用主側に障害者一人ひとりに適した合理的配慮をどのように捉えるのか、雇用の「質」が問われることとなった。そのため、障害者が「働きがい」をもてるよう雇用主側の視点で障害者雇用の問題を検討することが重要となった。そこで、本研究では、職場定着が困難とされる自閉症者を雇用している雇用主を対象に、障害者雇用においてどのような問題を抱えているのか、また、雇用を継続するためにどのような工夫を行っているのかを探り、障害者雇用における効果的な支援モデルを見出していくことを目的に調査を実施した。その結果、明らかにされたことは、障害者中心の観点から個別支援計画が作成されることの重要性であった。そして、障害者雇用を継続させるための条件として、①就労支援機関の連携と環境調整、②個別支援計画の共有と更新、③組織間情報移行とナチュラルサポートの形成の3つが導きだされた。上記の条件を踏まえ、当事者情報である個別支援計画がいつでも確認でき、周知できる仕組みが必要であることが分かった。そうした仕組みが維持された職場環境を目指していく試みは、ILOが掲げる「ディーセント・ワーク」の基本概念を具体化していくためのアプローチのひとつであることを示唆した。