研究概要

代表者氏名李 暻娥(い ぎょんあ)
代表者所属機関横浜国立大学大学院環境情報学府
役職・課程博士後期課程
助成年度2013年度

研究テーマ

在日コリアン高齢者の人間関係構造が社会参加志向性に与える影響に関する研究

研究概要

 日本における外国人高齢人口の大半を占めるのは在日韓国・朝鮮人である。本調査は、事前調査を経て、関東地方の在日韓国・朝鮮人集住地域である川崎市桜本地区の「ふれあい館」の高齢者事業に着目し、事業を利用する75歳以上の「在日コリアン高齢者」8人に対して、半構造化インタビュー調査を実施した。分析方法としては、当事者の「物語」をテーマごとにわけそのまま記述し、それぞれに対する考察と関連要因への検討を行う形式を採用した。
 結果、周りの人が老い衰えてゆく姿や最終期に対する漠然とした対策が既存の人間関係性の変化によって打ち破れたときに、既存の社会参加状況を見直し、そこから改めて新たな社会参加志向性が生じる傾向が把握された。特にその意識の変化を行動に移す原動力になるのは、長年にわたって形成されてきた職員とのラポール(信頼関係)が当事者の中に潜まれている不安と課題を表面化し、当事者の社会参加志向性の向上に大きな影響を及ぼしていることが示唆された。