代表者氏名 | 森田 彩子(もりた あやこ) |
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代表者所属機関 | 東京医科歯科大学大学院 |
役職・課程 | 助教 |
助成年度 | 2014年度 |
過疎農村集落の健康管理エフィカシー強化に生薬まちづくりがもたらす効果評価
本研究の目的は、薬用植物の栽培利用が住民の健康管理に対するセルフ・エフィカシーを強化する過程、そして地域高齢者におけるセルフ・エフィカシーと健康行動及び住民間における相互扶助行動との関連性を明らかにすることとした。2015年5月から6月にかけて、行政・地元企業・専門家と協働して薬用植物の栽培利用を促進する取組みを行っている住民団体の会員17名を対象に、薬用植物の栽培利用状況及び健康管理に対するセルフ・エフィカシーを強化する機会を質的手法を用いて調査した。また、地域高齢者36名を対象に、セルフ・エフィカシーと健康行動及び地域との関わりを定量的に測定し、関連性を調査した。結果、会員は健康に対する高い関心を持ち、主体的に薬用植物を活用した自身及び周囲の人々の健康維持増進に取組んでいることが確認された。また、地域で受け継がれてきた薬や食材としての知恵や栽培技術、新しい薬用植物の栽培活用に関する実践の積み重ね、会員同士による成功体験の共有、体調の改善など好意的な反応が引き起こす情動喚起の経験が語られ、薬用植物の栽培活用を通じた健康管理に対するセルフ・エフィカシーの強化基盤が整っていることが確認された。一般セルフ・エフィカシーが高いものは地域に対する愛着度が高かった。しかし、健康行動、相互扶助関係にある住民の数、地域に対する帰属意識とは関連性が見られなかった。