研究概要

代表者氏名李 錦純(り くんすん)
代表者所属機関兵庫県立大学看護学部
役職・課程准教授
助成年度2015年度

研究テーマ

中山間地域の高齢者の訪問看護利用意向と関連要因―予防強化型訪問看護による高齢者の健康ニーズの探索―

研究概要

 研究は,過疎・高齢化が深刻な中山間地域在住高齢者における,訪問看護の認知度および利用意向とその関連要因を明らかにすることを目的とした。兵庫県北部中山間地域5市町在住の65歳以上の高齢者約1,000名を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した。調査票回収数は745件(回収率77.4%),訪問看護サービス内容は90%以上が「認知度あり」と回答し,ケア内容別では,「精神障がい者の看護」と「ターミナルケア」の認知度が30%以下の低い結果であった。認知度と「訪問看護利用実績」,「訪問系サービス認知度」との関連において,有意差が認められた(p<0.05)。36.5%が訪問看護の「利用意向あり」と回答し,年齢・性別との関連において,有意差が認められた(p<0.01)。
 訪問看護の認知度は高いが,ケア内容に関しては限定的な認識であること,サービスを必要としない健康な対象が多く,全体的な利用意向は低い結果であった。社会的ニーズが高い精神科訪問看護や在宅ターミナルケアで果たす訪問看護の役割と効果について,地域性や性別・年齢層をふまえて重点的に周知を図ることが,効果的な活用につながる可能性が示唆された。