研究概要

代表者氏名山本 則子(やまもと のりこ)
代表者所属機関東京大学大学院医学系研究科
役職・課程教授
助成年度2016年度

研究テーマ

地域高齢者のアドバンス・ケア・プランニングに関する意向調査―3ヵ国(中国⦅香港⦆・韓国・日本)比較調査―

研究概要

本研究は、日本の地域在住および有料老人ホーム在住の高齢者におけるアドバンスケアプランニング(ACP)等に関する認識を明らかにすること、日本・香港・韓国の地域在住高齢者のACP等に関する認識の違いを比較することを目的として調査を実施した。日本では、東京都内・神奈川県内計3か所の地域包括支援センターおよび東京都内の1病院で実施された地域在住者向けの諸活動に関するセミナー参加者、および千葉県および神奈川県にある有料老人ホーム2施設の入居者を本研究の対象とした。日本の地域在住高齢者を対象として行った調査では175件の有効回答が得られ、女性120名(68.5%)、平均年齢は75.9歳だった。有料老人ホームの高齢者を対象として行った調査では221件の有効回答が得られ、女性が150名(68.2%)、平均年齢は80.5歳だった。人生の最終段階で受けたいケアで最も重要なことは「痛みやその他の不快を和らげる」が最も高く(地域、有料ホーム各々35.1%、51.9%)、次いで「私の望みが尊重される(同15.8%、15.1%)」が「他人に負担をかけない(同11.7%、6.1%)」ことよりも多かった。ACPについて聞いたことがある者は各々16.0%と24.5%、ACPについて考えてみたい者は74.3%と80.0%、事前指示について聞きたいことがある者は28.7%と57.5%、事前指示について考えてみたい者は73.5%と78.7%であり、ACP、事前指示とも有料ホーム在住者の方が聞いたことがある人の割合が高かったが、どちらでもACPや事前指示について考えてみたい人の割合は8割近く、高い関心が窺われた。3ヵ国の比較では、回復の見込みがない時に受けたい延命措置について、全体的に日本は受けたいと思う割合が香港、韓国と比較して少なかった。ACPもしくは事前指示について聞いたことがある者は、韓国で11.9%、日本で33.8%、香港で35.2%であり、韓国でACPや事前指示について知られていない状況が窺われた。また、ACPについて考えてみたい人の割合が、日本で83.8%と特に高かった。