研究概要

代表者氏名荻 翔一(おぎ しょういち)
代表者所属機関東洋大学大学院社会学研究科社会学専攻
役職・課程博士後期課程
助成年度2016年度

研究テーマ

地域社会における韓国系教会の役割―大阪教会における生涯学習支援活動を事例に

研究概要

 本研究の目的は、韓国系のキリスト教会が行う地域社会に向けた活動がどのような目的で運営され、どのような人々が活動を支えることで成り立っているのかを明らかにすることである。対象とした大阪教会は、2004年に地域住民に向けた生涯学習支援を開始した。活動を始めた韓国系ニューカマー牧師は、宣教と地域社会のためということを目的に掲げながらも、無宗教を自認する参加者(主に在日コリアン)に配慮し、活動では積極的に布教するようなプログラムは設けなかった。また2005年以降は行政から補助金を得ながら活動しており、そうしたことも活動内容に影響しているものと考えられる。
 活動の担い手は教会活動に熱心な韓国系ニューカマー女性信徒である。大阪教会は戦前から戦後にかけて在日コリアンが中心であったが、1980年代以降は韓国系ニューカマーが参与するようになった。大阪教会は、活動を円滑に進めるうえで欠かせない存在である担い手を教会内の人材でカバーしつつ、公的機関と協働しながら、クリスチャンではない地域住民にも比較的受け入れられやすい活動内容を提供しているといえよう。