研究概要

代表者氏名髙阪 悌雄(たかさか やすお)
代表者所属機関静岡英和学院大学
役職・課程教授
助成年度2017年度

研究テーマ

障害基礎年金制度成立背景と現状の課題

研究概要

 1981年に発足した第2次臨時行政調査会の答申に基づく行財政改革が進む中、1985年の公的年金改革では基礎年金の導入とともに、年金給付の縮減施策が断行された。その中でも唯一の改善施策といえる障害基礎年金の誕生は幼少時からの障害児が20歳になった時に拠出制障害年金と同額の給付が行われるという、拠出があって給付があるという従来の保険の原則を超えた画期的な仕組みであった。しかし、障害により幼い頃から保険料を払っていない者が、年金を受給できる「無拠出制」と、保険料を拠出し受給できる「拠出制」が、同額の障害基礎年金として統合された背景について、これまで十分に言及されてこなかった。
 障害基礎年金制度は、幼少時からの障害者を無拠出であることにより線引きするという排除性を超えた点において、障害等級表への非該当や保険料滞納等により給付から漏れるがゆえに今後も対応が必要となる障害者所得保障改革の原点と言える。本研究では、障害基礎年金の成立プロセスを明らかにすることで、今後の障害者所得保障改革への示唆を得ることを目的とする。