研究概要

代表者氏名髙橋 大輔(たかはし だいすけ)
代表者所属機関茨城大学人文社会科学部
役職・課程准教授
助成年度2017年度

研究テーマ

子ども虐待において子ども自身の通告を可能にするための法的研究

研究概要

近年、子ども虐待が問題となっている。虐待家庭への援助や介入が有効に機能するためには、児童相談所などへの通告が重要である。しかし、周囲の大人による虐待発見に期待するだけでは限界がある。そのため、被害を受けている子ども自らが虐待の被害を訴えられることが重要になるけれども、その前提として、親から独立した自我を子どもが形成し、自己の意見を表明できるようにならなければならない。この点において参考になるのが、日本の親権に相当する「親の配慮(elterliche Sorge)」の行使について、親は子どもと話し合い、合意を得るように努めるものとするドイツ民法1626条2項である。
以上のような問題意識に基づき、本研究は、①日本における子ども虐待の現状と子どもからの通告についてまとめ、②現在の日本法における親権と子どもの意思の関係について検討した。その上で、③ドイツ法における親の配慮と、ドイツ民法1626条2項について調査し、日本法への示唆を得ることを試みた。