研究概要

代表者氏名田中 春菜(たなか はるな)
代表者所属機関甲南女子大学
看護リハビリテーション学部
看護学科
役職・課程助教
助成年度2017年度

研究テーマ

息子介護者の現状と地域における介護者支援システムの課題―息子介護者の語りの分析から暴力のない介護を目指して―

研究概要

 親を介護する息子介護者たちは、暴力・暴言体験の有無に関係なく、自らの役割として介護を引き受け、多くのものが兄弟の中で役割分担することなく一人で介護を担っていた。暴言・暴力経験のある息子介護者は、一生懸命に被介護者に向き合う中で「繰り返される訴え・行動により自分のペースや時間が邪魔され我慢ならない」、「相手が理解できない・話が通じない」、「わがままで言うことを聞いてくれない」、「被介護者の変化を受け入れられない」の要因が怒り・いら立ちに繋がっていた。「相手が理解できない・話が通じない」という要因であれば、認知症についての勉強を進め、適切に介護の相談ができる場所に繋がれば自分の認識が変わり、暴力・暴言を辞めることが出来ていたが、他の3つの要因は自分では解決することが出来ず、一度暴力・暴言に訴えてしまうとそのパターンが続いてしまうこともあるため、第3者の介入が早急に必要である。
 介護の状況・環境では暴言・暴力の有無に関係なく、多重介護や夜間介護を主に一人で担い、自分の人生の時間を削って介護する状況が浮き彫りになった。その中でも、暴力・暴言経験のない息子のグループからは良い意味で親の変化を仕方ないとあきらめ、受け入れていた。