研究概要

代表者氏名矢野 和美(やの かずみ)
代表者所属機関法政大学大学院政策創造研究科
役職・課程博士後期課程
助成年度2017年度

研究テーマ

働き盛りのがん患者の就労継続に対する影響要因とその改善策に関する研究

研究概要

本研究の目的は、がん患者の個人属性、職業特性、政策支援環境などがどのように影響しているのか明らかにすることである。就労意欲のある5年以内にがんと診断された515名に質問調査を実施した。自営業の一番のつらさは、「身体面のつらさ」であったが、その他は「落ち込み・気分のつらさ」であった。また、従業員9名以下は、「身体面のつらさ」、従業員10名以上では、「落ち込み・気分のつらさ」が一番であった。患者が思う一番の支援者は[家族]、次いで[友人]、[直属上司]、[同僚]、[病院スタッフ]、[同じ病気を持つ仲間]、[人事部門]、[産業医]、[産業看護師]、[行政]の順であった。がん患者の仕事と治療の両立は、治療法や病期、業種や従業員数等に影響を受けるが、その支援はいまだ十分に患者に届いていない可能性が示唆された。そのため、企業、病院、行政などと仕事と治療、生活の両立に関して、具体的な働き方、治療の受け方、生活の仕方など具体的かつ継続的に相談しながら、患者教育という視点を含め、支援を進めていくことが患者のQOLの維持・向上に寄与すると考えられる。
キーワード:がん患者 就労 影響要因 QOL