研究概要

代表者氏名新里 美智子(しんざと みちこ)
代表者所属機関名桜大学人間健康学部看護学科
役職・課程助教
助成年度2017年度

研究テーマ

「ゆいまーる」文化の根強い沖縄における自死遺族の体験と求める支援-自死遺族支援が進まない背景の分析と効果的な支援の検討-

研究概要

 本稿は、自死遺族の体験および求める支援について面接調査を実施し、明らかとなった自死遺族の体験と求める支援から、「ゆいまーる」精神の根づく沖縄の自死遺族支援が進まない背景を分析し、効果的な支援方法の示唆を得ることを目的とする。県内の自死遺族支援活動の今日までの取組みを概観し課題を明らかにするため、取組みに関する資料および各会への聞き取り調査によりデータ収集を行い分析した。
 沖縄では行政に先駆けてA島の会が発足し、活動の休止期間を含め12年間実施されたが、自死遺族の参加がなく、会の存続が困難となった実態が明らかとなった。県主催の分かち合いの会については、月1回の定期開催となっているが、過去9年間の平均参加者数は2.3人であった。また、自助グループBの会においても参加者が非常に少なく、さらに会場の確保の困難や経費の負担等から開催も不定期となり、行政への支援を求めていることが明らかとなった。以上の3つの会の共通課題として、自死遺族が支援につながらない実態が浮き彫りになり、その背景を明らかにする必要性が示唆された。また、民間による自死遺族支援活動の課題やニーズを行政が共有し、開催場所の確保、広報支援などの運営支援を行っていく必要性が示唆された。