研究概要

代表者氏名福井 ゆたか(ふくい ゆたか)
代表者所属機関名古屋大学教育発達科学研究科
役職・課程博士前期課程
助成年度2018年度

研究テーマ

ネパールにおける精神疾患の援助要請行動を抑制するコミュニティ要因の検討

研究概要

ネパールでは精神疾患をもつ人々が治療を受けていないトリートメントギャップの問題が指摘されており,その理由の一つとして,人々が精神疾患を患ったときに周りの資源に相談しないという援助要請の低さが考えられる。特に農村部と都心部において援助要請に影響するネットワーク要因の差が顕著であると考えらえる。本研究では,個人が属するコミュニティ特有のネットワーク要因が援助要請の傾向に影響することを仮定し,援助要請の傾向と心理社会的要因について大学生,都市部,農村部において比較した。調査の結果,大学生では自己開示傾向とソーシャルサポートがインフォーマルな援助要請を高め,精神疾患に関するネガティブな態度が専門家への援助要請を低下させていた。農村部では,ネットワークの大きさや人との関わりの頻度が多いほど援助要請が高く,また,メンタルヘルス専門家の利用は精神疾患に関する教育の有無が関連していた。本研究結果から,ネパールにおいて援助要請の促進のための介入を行う際に,社会集団の属性の違いを考慮することの重要性が示唆された。