代表者氏名 | 伊藤 駿(イトウ シュン) |
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代表者所属機関 | 広島文化学園大学 |
役職・課程 | 講師 |
助成年度 | 2019年度 |
参加の視点に基づくインクルーシブ教育の検討:通級指導教室の実践に注目して
日本のインクルーシブ教育をめぐっては、全ての子どもが地域の学校で共に学ぶ権利を保障すべきとする「共生共学派」と全ての子どもの発達を保障するためには特別支援学校をはじめとする通常とは異なる場での教育も容認するという「発達保障論」の間で対立が続いている。
そこで本研究では通常の学級に所属しながらも自身の障害に応じた指導を受けることのできる通級指導教室に注目し、先の両者の対立を乗り越えるための示唆を得ることを目的とした。具体的には関西圏にある小学校1校の通級指導教室において参与観察を実施するとともに、特に4名の児童の変容に注目した。
調査および分析の結果、通級指導教室での指導を通じて子どもたちは単に自身の困難を乗り越えるだけでなく、それを通じて周囲の子どもとの関係性が改善し、結果として通常学級における協働を促進する結果となっていた。
これらの結果をもとに通級指導教室での実践は先の立場それぞれの志向性を併せ持つものであり、日本におけるインクルーシブ教育システムを構築していくにあたって確かな寄与が期待できることを述べた。