代表者氏名 | 野村 駿(のむら はやお) |
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代表者所属機関 | 秋田大学教職課程・キャリア支援センター |
役職・課程 | 助教 |
助成年度 | 2021年度 |
夢を諦めた若者へのセカンドキャリア支援に関する研究―バンドマンを事例として―
本研究の目的は、「音楽で成功する」といった夢を追うバンドマンたちが、その夢を諦め、セカンドキャリアに移行するプロセスを明らかにすることである。子ども・若者に夢を持たせる/追わせる学校教育が推し進められる中、フリーターやニートをはじめとする不安定な移行の問題が取り沙汰されている。この結節点に夢を追う若者を位置づけて、夢追いの選択(夢を追い始める)と維持(夢を追い続ける)を検討してきた筆者の調査を継続しながら、その後に続く夢追いの断念(夢を諦める)とセカンドキャリアへの移行を検討した。
バンドマンへの追跡調査(インタビュー)の結果、ライブイベントに出演するなどの表立った活動が見られなくなる一方で、フリーターから正社員へと移行し、結婚・家族形成を経験している者が複数確認された。しかし、そのすべてが「夢を諦めた」と認識しているわけではないことも明らかになった。つまり、たとえ身体的・精神的問題を抱えたり、将来への不安を感じたりしたとしても、そのまま夢を追い続ける者がいるのであり、またバンド以外の仕事に正規就職したり、結婚・家族形成をしたりしたとしても、それがそのまま「夢を諦めた」ことにはならない可能性がある。今後は、より多くのデータを収集して、そもそも夢を諦めるとは何かを問いつつ、だれがどのようなセカンドキャリアに移行できるのか/できないのか、そこで直面する困難に対してどのような支援が求められるのかについて、さらなる検討を行っていきたい。